男性更年期 服薬療法 〜内服薬・漢方〜

服薬治療とは

男性更年期障害を改善する方法に内服薬や漢方薬による治療があります。まずはこれらの治療について詳しくみていきましょう。

内服薬や漢方薬による男性更年期障害の治療

症状が軽度〜中度の場合に適用されることが多い

男性更年期障害は疲れやすい、発汗やほてり、メタボリックシンドロームなどの身体症状のほか、性機能の低下（ED・性欲減退）や、イライラ、意欲の喪失、不眠などの精神症状など、さまざまな不調を引き起こします。症状が軽度の場合は生活習慣の改善から取り組み、必要に応じて内服薬や漢方薬による治療をおこないます。なお、症状が重度の場合はテストステロン補充療法（注射）によって治療をおこなうことが多いです。

当院で処方する治療薬・漢方薬

当院では男性更年期障害の患者様に下記の内服薬・漢方薬を処方しております。
・マイスリー
・補中益気湯エキス（ほちゅうえっきとう）
・クロミッド
・ノベルジン

このような症状の方におすすめしています

・最近性欲がわかない
・集中力や記憶力に自信がなくなってきた
・以前のように精力的に活動したい
・イライラしがち
・前向きな気持ちになれない
・脂肪がつきやすくなってきた
・筋トレをしても筋肉がつきにくくなった
・疲れやすくなった

【マイスリー】について

当院で処方するマイスリーについてお伝えします。

期待できる効果

マイスリーは寝つきが悪い方に処方される睡眠導入剤で、男性更年期障害の症状の1つである不眠に働きかけます。マイスリーは商品名で、一般名はゾルピデム、ジェネリック医薬品はゾルピデム酒石酸塩錠です。そのため、マイスリー・ゾルピデム・ゾルピデム酒石酸塩錠には基本的に大きな違いはありません。
精神的に不安定になると脳が必要以上に活発に動いてしまい、不安を感じたり眠れなくなったりします。このような場合に処方される薬です。
マイスリーは服用後40分ほどで血中濃度が最高になり、その後代謝されていきます。作用時間が短いため寝つきが悪い等の入眠障害には高い効果が期待できますが、夜中に何度も起きるといった症状には効果が見込めません。また、効果が現れてから消失するまでの期間が短いため、翌日の日中に眠気が起こりにくいといったメリットがあります。

服用できないケース

・緑内障の患者様
・重症筋無力症の患者様
・重篤な肝機能障害をお持ちの患者様
・呼吸機能が著しく低下している患者様（肺気腫など）
上記に当てはまる患者様には処方ができません。また、慎重な投与が必要な患者様は下記の通りです。
・65歳以上の患者様
・妊娠中または授乳中の患者様
65歳以上の患者様は肝機能が弱まっている可能性があり、副作用が強く出るケースがあります。また、妊娠中・授乳中の患者様は成分が胎児や母乳へ移行することがわかっているため注意が必要です。

副作用

＜重大な副作用＞

・依存性：薬がないと落ち着かなくなったり、服用する量を増やさないと効果を感じられなくなったりすること
・離脱症状：薬の服用を中断したり減らしたりすることで急激に症状が悪化すること
・一過性前向性健忘：服用から入眠までの記憶がなくなり、眠るまでに歩き回るなどの夢遊症状が出ること
・幻覚：実際にはないものをあるように感じること

＜副作用＞

・ふらつき
・眠気
・頭痛
・倦怠感
・残眠感（目覚め後の眠さ）
・悪心（吐き気・気持ち悪さ）

【補中益気湯エキス】について

当院で処方する補中益気湯エキスについてお伝えします。

期待できる効果

男性更年期障害の症状の1つに、疲れやすいことが挙げられます。補中益気湯エキスには、胃腸の消化や吸収を整え疲れやすい体を改善していく効果が見込まれます。
補中益気湯エキスは、ツムラから「補中益気湯エキス顆粒」、クラシエから「補中益気湯」が販売されています。
当院はツムラの漢方薬を処方しております。

服用できないケース

・病院で治療を受けている患者様
・妊娠中の患者様または妊娠の可能性のある患者様
・薬による発疹・発赤・かゆみなどが生じたことのある患者様
上記に当てはまる方は、服用前に医師にご相談ください。

副作用

＜重大な副作用＞

・間質性肺炎
階段を上ったり少し無理をしたりすると、息切れや息苦しさが起こる。また、コンコンといった乾いた咳が出たり発熱したりする。これらの症状が急に現れ持続する。

・肝機能障害
発熱・発疹・かゆみ・黄疸・褐色の尿・倦怠感・食欲不振などが生じる。

これらの重大な副作用が生じた場合は、すぐに使用を中止し医師にご相談ください。

＜副作用＞

・発疹
・発赤
・かゆみ
これらの副作用の症状が現れた場合は、使用を中止し医師または薬剤師にご相談ください。

【クロミッド】について

当院で処方するクロミッドについてお伝えします。

期待できる効果

クロミッドは女性の不妊症に用いられる排卵誘発剤です。不妊治療の薬が男性にも効くの？と思われるかもしれませんが、テストステロンの分泌を促進する働きがあるため、男性更年期障害の治療にも効果が期待できます。

服用できないケース

・前立腺肥大症をお持ちの患者様：症状が悪化する可能性がある
・血栓症の素因のある患者様：脳梗塞・静脈血栓症が生じる可能性がある
上記に当てはまる患者様は服用前に医師にご相談ください。

・頭蓋内に下垂体腫瘍などがある患者様：腫瘍への悪影響が懸念される
上記に当てはまる方は服用不可です。

副作用

＜副作用＞

・虚血性視神経症：視神経の損傷
・発疹
・精神変調：抑うつ症状が続くこと
・肝機能障害
・女性化乳房
・ニキビ
・脱毛

【ノベルジン】について

当院で処方するノベルジンについてお伝えします。

期待できる効果

ノベルジンは味覚障害患者の亜鉛不足（亜鉛欠乏症）などを解消する薬です。男性更年期障害はテストステロンの低下によって生じますが、テストステロン値を高めるためには亜鉛を積極的に摂取する必要があります。そのため、男性更年期障害に対してもノベルジンが処方されるケースがあるのです。亜鉛は食事からでも取り入れられますが、毎日バランスの取れた食事をするのは難しいため、その場合は薬によって取り入れます。

服用できないケース

・ノベルジンの成分に対して過敏症の既往歴のある患者様
上記に当てはまる方は服用ができません。

副作用

＜重大な副作用＞

・銅欠乏症：貧血やふらつきなど

＜副作用＞

・リパーゼ増加
・アミラーゼ増加
・血清鉄減少
・胃不快感
・悪心
・口内炎
・嘔吐
・腹痛
・下痢
・心窩部不快感

治療の流れ

料金

よくある質問

• 男性更年期の薬は個人輸入の通販サイトでも購入できますか？

  男性更年期障害の薬は個人輸入の通販サイトでも購入できます。しかし、通販サイトで市販されているものの中には偽物が紛れている可能性があり、安全性が確認できません。服用後に重篤な副作用が生じても保証などがないため、男性更年期の治療薬はクリニックで処方してもらうようにしましょう。

• マイスリーを飲み続けるとどうなりますか？

  マイスリーを長期間飲み続けると、薬が効きにくくなったり、薬がないことを異常な状態と認識してしまったりと、さまざまな弊害が起こります。マイスリーは自己判断で服用せず、必ず医師の指示のもと適切に服用してください。

• 男性更年期の薬には併用禁忌の薬がありますか？

  男性更年期障害の薬には、それぞれ避けなければならない飲み合わせがあります。各薬の併用禁忌薬は医師からご説明いたしますので、診察時にご確認ください。

• 男性更年期障害の薬や漢方薬は保険適用になりますか？

  当院での診療は自由診療となります。あらかじめご了承ください。